アメッツ

    2013/11/11


 ここ数年のバルブームで巷には「スペインバル」が跋扈しているが、中にはスペインに行ったことがないシェフもいるからご用心。
彼の国で修業をしなければ料理は作れないと言う気はないが、バルと名乗るからにはスペインの空気くらいは吸って欲しいものだ(笑)。

 そんな中、スペインで地方料理を中心に6年間修行。
イタリアと並んで地方料理の集積であるスペイン料理の基本をみっちりと学んだシェフの服部公一さんが浅草に開いたバルレストランが「アメッツ」だ。

 バルで供されるタパスはどれも一見、作るのが簡単そうにみえるから「なんちゃってスペインバル」が横行したのだろうと思うが、料理の成り立ちをしっかり見極めると、そんな単純な話ではない。

 たとえば「海老のアヒージョ」。オリーブオイルでにんにくと赤唐辛子、海老をぐつぐつと煮込んだバルの典型的なタパスだが、これは海老を味わうというよりも、海老の出汁が浸みこんだオリーブオイルをバゲットに浸して味わう料理だということを、初めてアメッツで食べたときに納得した。

 というのも、アメッツのそれは有頭海老を殻ごと使って煮込んであるから、味噌も殻の旨味もすべてがオイルに溶け込んでおり、オイルがすこぶる旨いし、身も殻に囲われているから旨味が逃げていない。
ところが、巷のバルでは冷凍の無頭海老を使ったものがほとんどで、これではオリーブオイルに海老のうまさが伝わらない。
これも「アヒージョ」を技術として学ぶのではなく、服部さんが料理として研究したから出てきた供しかただろう。

 アメッツのメニューはどれもスペインの風土に根差したものばかり。
豚の血入りソーセージ(モルシージャ)を使ったスペインオムレツは、真っ黒だがワインにぴったりだし、予約制の子豚の丸焼きもジューシーで旨い。
最近は「パエリャ」もメニューに載せているが、アメッツに来たなら、最後は他の店では食べられない「鳩ごはん」など郷土食豊かなごはんメニューで締めてほしい。

東京いい店うまい店編集長
柏原光太郎

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