東京・早稲田に店を構える「旧雨(きゅうう)」は、控えめでありながらも旬の食材が煌めく、滋味深い料理を提供する隠れ家のような店。
オーナーシェフ前田克紀さんは、薬膳や食養生に精通し、「古月 新宿」のオーナーシェフとしても知られる人物。
中医学の知識を活かしつつ、薬膳のうんちくを控えめにして、誰もが気軽に楽しめる料理を提供。
季節の変わり目に合わせた体に優しい料理が、早くもリピーターを魅了している。
※ 受賞店舗の順番は「五十音順」
静岡・日吉町に店を構えるイタリアンレストラン「ヴィンチスグラッシ」は、マルケ州で修行を積んだシェフが手がける、郷土料理を中心に提供するユニークな一軒。 店名はマルケ州の伝統的な料理から取られ、その土地ならではの味を楽しめる。 自家製カンパーニュに生ハムを挟んで食べるのが絶品で、北海道産牡丹海老のカルパッチョやアカニシ貝のサラダ、手間暇かけたコッツェ・リピエーネなど、マニアックで美味しい料理が並ぶ。 特に店名にもなっている「ヴィンチスグラッシ」と呼ばれるラザニアの原型は、その奥深い味わいが一度食べたら忘れられない。
東京・東銀座に店を構える「Ginza 脇屋」は、中国料理界のレジェンド・脇屋友詞シェフが50年の集大成として手がけた新たな一軒。 カウンター8席と個室のみの小さな空間で、シェフ自らが目の前で料理を披露し、ゲストと近い距離で食のエンターテインメントを提供。 特注の炉窯を使い、450度の高温で調理された叉焼やクリスピーポーク、魚介類は、新しい中華の可能性を感じさせる一皿に。 伝統と創作が融合した革新的な料理を、心ゆくまで楽しめる。
沖縄・小禄に店を構える「島 Cuisine あーすん」は、沖縄の恵みをふんだんに活かした一軒家レストラン。 店名の「あーすん」は沖縄の方言で「合わせる」という意味で、県産スパイスや今帰仁アグー、島野菜を使用した料理が魅力。 シンプルな味付けで素材本来の美味しさを引き出し、やちむんの器やシークワーサーの枝のお箸にも細部にまでこだわりが光る。 ランチには季節のランチコース、ディナーではペアリングコースを楽しめるなど、食と酒の豊かな時間を提供している。
2023年4月に開業した「純麦」は、住所非公開・完全予約制という希少な営業形態で注目を集めるラーメン店。 提供するのは、ラーメンに前菜とかき氷を組み合わせた「純麦御膳」(7,700円税込)のみで、ラーメンの枠を超えた新しい食体験が味わえる。 SNSで話題となり、予約困難の人気店へと成長。 店主の矢嶋純さんは、「雲のきれま」などの経験を経て、独自のスタイルを確立し、ラーメン業界に新風を吹き込んでいる。
東京・広尾に店を構える「鮨 ゆうき」は、横浜・関内の名店「常盤鮨」が2024年3月に移転し、新たな一歩を踏み出した鮨屋。 親方の林ノ内勇樹さんは、「すきやばし次郎」系譜の名店「鮨 水谷」で腕を磨いた職人。 屋号を自身の名に改め、江戸前鮨の真髄を広尾で届ける。 シャリは酸味が際立ち、どのネタとも見事に調和。 カウンター8〜9席と個室で提供されるおまかせコースは、通をも唸らせる一貫一貫の完成度を誇る。
東京・六本木に店を構える「地土里」は、西麻布の「鳥さわ鍋屋」で腕を振るった店主、相内氏が手がける新しい焼鳥店。 コースは串焼き、鍋を中心に蒸し物や揚げ物など多彩な料理が楽しめる。 特に鶏肉の質と手間を惜しみなくかけ、塩味を控えめにすることで、鶏の旨みが際立つ絶品の味に仕上げている。早くも六本木を代表する鶏料理の予約困難店となっています。
山梨・韮崎に店を構えるフレンチレストラン「TSUSHIMI」は、「日本の森を味わう」をコンセプトに、地元の自然と素材を最大限に生かした独創的な料理を提供する。 オーナーシェフの都志見セイジ氏は、山梨の土地で採れた新鮮な食材を使い、畑を耕し、旬の野菜や野生の素材を活かす料理を提供する。 特に、薪を使って火入れし、香りを楽しむスタイルが特徴。 自家菜園や、周囲の自然の恵みを生かした料理は、五感で楽しむことができる。 10年間限定の完全紹介制で、特別なひとときを提供している。
東京・虎ノ門ヒルズに店を構える「天ぷら あらたみかわ」は、名店「みかわ是山居」から独立した新しい天ぷら店。 店主の小川比佐男氏は、天ぷらの巨匠・早乙女哲哉の元で修行を積み、2024年8月に独立。 油には修業先と同じ太香胡麻油と綿実油を使用し、高温で短時間で揚げる技術を受け継ぎつつ、小川氏ならではの天ぷらを提供。 店内は8席のカウンターのみで、木の温もりとモダンな内装が心地よい。 スタッフの丁寧な接客も、特別な食事の時間をさらに引き立てる。
福井県小浜エリアに店を構える「日本料理 崇(すう)」は、自然豊かな里山にひっそりと佇む、今北陸で最も注目されるディスティネーションレストラン。 店主の田中俊祐さんが手がける料理は、京都「菊乃井」で磨いた技を駆使し、地元の旬の食材を最大限に生かしたものばかり。 コッペガニや越前ガニ、天然鰻など、季節ごとの味覚を堪能できる。 精緻な盛り付けと絶妙な火入れが光る一品一品は、訪れる価値がある至極の味わい。
長野・軽井沢に店を構える薪焼きスペイン料理のレストラン「MANO」。 シェフはスペインで修業を積んだ若手実力派で、食材へのこだわりが光る。 特に自らキノコを採取するなど、地元軽井沢の食材を生かした料理が特徴。 コース料理には、シェフ手作りのノンアルコールペアリングが添えられ、料理との相性も抜群。 薪焼きで仕上げた料理はどれも絶品で、〆のパエリアは伝統的な味わいが際立つ。 予約困難な人気店として、今後ますます注目されること間違いなし。
東京・白金台に店を構える「Yama」は、パリの人気店「Sola」でシェフパティシエを務めた勝俣孝一氏が手がける「お菓子なレストラン」。 料理とは異なるアプローチで食材や香りを楽しませてくれる。 バジルのパンナコッタとトマトコンソメのジュレを組み合わせたスペシャリテ「カプレーゼ」が人気。 また、お菓子屋のショーケースのようなアミューズや、山梨のハーブを使った「アンフュージョン」など、ここでしか味わえないユニークな料理が揃う。
山梨・富士五湖の西湖に店を構える「Restaurant SAI 燊」は、地元の食材を活かした「奥・山梨料理」を提供するレストラン。 薪火で調理し、ジビエや山菜、淡水魚などの深い味わいを引き出す。 富士山周辺の植物を使い、従来の概念にとらわれない新しいガストロノミーを追求。 ペアリングには山梨産ワインやクラフトビールなど、地元のお酒との絶妙なマリアージュを楽しめる。 また、敷地内では自家畑やハーブガーデンを活用し、食にまつわる実践的な活動を行う複合型レストランとして新たな食の可能性を探求している。
総評
今年のベストレストラン選考を振り返るうえで、まず浮かび上がったキーワードは「食旅」。食事を目的に遠方へ出かけるというスタイルがますます注目を集め、地方や山奥のオーベルジュで自然と直結した料理を体験する動きが一段と加速しています。
一方で、選出された店舗のおよそ半数は東京エリアであることも見逃せません。都市部ならではの洗練された新店や、職人技・エスニックの進化形といった多彩なレストランが数多く生まれ、こちらも同様に高い評価を得ています。寿司の選出がやや減少し、天ぷら・モダンタイ料理・薬膳中華などが台頭しているのも今年の大きな特徴でしょう。さらに、トンカツやホルモンといった“B級グルメ”の枠を超えたクオリティ重視の店も増え、ジャンル全体の地殻変動を感じさせる結果となりました。
予約困難やアクセスの不便さまでも「特別な体験」としてとらえ、地方を巡る“食旅”に飛び出す動きと、東京を中心とした都市部の新潮流が共存しながら、大きく食シーンが盛り上がっているのが今年の特徴です。TERIYAKIは、これからも「旅するようにレストランを楽しむ」視点を大切に、全国の魅力あふれるお店を皆さまと共有してまいります。ぜひ今後も、新しい一軒との出会いにご期待ください。